オーバーホールの必要性

GMTマスターII Ref.116710LN オーバーホール


今回は、GMTマスターIIのオーバーホールをご紹介します。

・リファレンス:Ref. 116710LN
・年式:V品番
・症状:オーバーホール
今回が初めてのオーバーホールとなる、V品番のGMTマスターII/Ref.116710LNです。
V品番については、2009年から確認されているシリアルナンバーとなりますので、約10年間メンテナンスを行っていない状態になります。



リューズが操作できず、剣回し(時間合わせ)ができない状態のため、原因を探します。
写真は下洗い後のため、一見きれいな状態に見えますが、実際にはサビと削れた金属粉によって酷く汚れていました。

歯車を取り出した写真です。
表側からは分かりませんでしたが、裏側が酷く削れていました。

歯車の先端を拡大した写真です。
削れていることが確認できます。

歯車を横から撮影した写真です。
通常であれば噛み合うべきパーツに、薄くなってしまった歯が乗り上げてしまうことで、噛み合わなくなったことが剣回し(時間合わせ)不良の原因でした。

不良部品は他にも見つかりました。アンクルのツメ石が摩耗しています。
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4番車の写真です。
Cal.3186のムーブメントでは摩耗していることが多い部品ですが、ひときわ酷い状態でした。

3番車の写真です。
ホゾの摩耗が進んでいました。

今回、剣回し(時間合わせ)不良でオーバーホールを行いましたが、約10年間メンテナンスを行っていなかったということもあり、精度やパワーリザーブが低下しており、交換部品が多数発生していました。
今回のメンテナンス品は、GMTマスターIIの“II”が特殊な表記となる“スティックダイヤル”と呼ばれる希少商品でした。すでにプレミアム化している商品ですが、今後さらに価格が高騰する可能性も考えられる時計です。
他にも、今後プレミアム化する時計も多く存在すると思います。メンテナンスを怠り、ムーブメントが酷い状態になりますと、ダイヤルなど他のパーツにも影響を及ぼし、時計の価値を下げる結果になることも十分に考えられます。そのような残念な結果を招いてしまわないように、定期的なメンテナンスをオススメいたします。



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